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国税庁 平成28年度における査察事案の告発件数は132件

2017/06/19

 国税庁はこのほど、「平成28年度 査察の概要」を公表した。それによると、平成28年度において査察調査に着手した件数は178件(前年度189件)。同28年度以前に調査着手した査察事案について、平成28年度中に処理(検察庁への告発の可否を判断)した件数は193件(同181件)で、検察庁に告発した件数は132件(同115件)、告発率は68.4%(同63.5%)だった。

 平成28年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で161億円(同138億円)、そのうち告発分は127億円(同112億円)となった。告発した事案1件当たりの脱税額は9600万円(同9700万円)。査察事案で多かった業種は「建設業」が30件、「不動産業」が10件。

 平成28年度中に一審判決が言い渡された件数は100件で、すべてに有罪判決が出され、実刑判決が14人に出されている。最も重いものは、査察事件単独に係るものが懲役5年、他の犯罪と併合されたものが懲役14年だった。

 なお、平成28 年度の消費税事案の告発件数は23 件(同12件)、国際事案の告発件数は21件(同28件)、震災復興関連事案の告発件数は12件(同3件)となっている。

【平成28年度告発事例(消費税事案)】
 
A社・B社・C社は、高級腕時計の輸出販売を行う会社で、3社のグループの基幹会社D社の在庫商品である高級腕時計を利用し、高級腕時計を国内仕入と仮装して架空の課税仕入を計上するとともに、当該高級腕時計をD社の国外の関係会社に持ち込み架空の輸出免税売上に仮装して申告を行うことにより、不正に消費税の還付を受けていた。この不正取引において、3社は、D社の在庫商品である高級腕時計を何度も国内と国外で循環させていた。本事例では、デジタルフォレンジックツールを使用し、削除されたデータを復元することで、不正取引を解明することができた。


【平成28 年度告発事例(国際事案)】
 
E社は、外資系生命保険会社の保険代理を行う会社で、実質経営者が国外に設立した会社に対して架空の支払手数料を計上する方法により所得を秘匿して多額の法人税を免れ、不正資金を国外に開設した実質経営者名義の預金で留保するほか、実質経営者の国外のコンドミニアムの取得費用に充てていた。本事例では、国外預金の解明のために、租税条約等に基づく外国税務当局との情報交換制度を活用した。

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